8月
京町家の息づかい五代目摺師・竹中健司
なにげなく京町家で木版画を制作してきました。京版画は昔から京町家で作ってきたものです。ふと、考えてみると、紙と土と木を使いできている家屋は、そのもの自体がまるで呼吸をしているよう。それが木版画を制作するには1番状態が良いんです。いい加減な湿度は、版木(はんぎ)に、紙に、絵具に、最適です。
Gion Tatsumi
京の街を歩くと、度々石畳の路地があらわれます。用事はなくとも、風情ある道に誘われてついつい入ってしまうもの。その先はつきあたり、、なんてことも度々、です。
作者竹中健司
22,000円(税込)から
9月
摺師と水摺師・森愛鐘
木版画の摺りには水の存在が欠かせません。摺る際には和紙や版木に水を含ませた状態を保って作業を進めますし、絵具で美しいグラデーションを作れるのも水のおかげです。和紙も版木も絵具も、適度に水を含んでいるとよく言うことを聞いてくれますが、少しでも過不足があると途端に聞き分けが悪くなり、良い摺りができなくなります。作品が完成すると水は蒸発して消えてしまいますが、摺師にとって水は、素材との間を取り持って共に作品を作ってくれる相棒のような存在です。
10月
線を彫る 彫師・野嶋一生
線には作家の意思が込められています。一本の線をどのように描き始めて、どのような流れで、どのように終わらせるのか。彫の技を通して描き手を知ることができるのは静かな喜びで、経験を積むごとに知人が増えたような気になります。
11月
京風景木版作家 竹中健司
木版画においても昔から京都の風景は、優れたモチーフのひとつです。それは日本全国の方々が京都に素晴らしい文化を根付かせた要因だと思います。どこを取っても、ひとつひとつの文化の花が咲き、また自然を取り込んだ景色は、すべてが絵になるようになってます。
kiyomizu butai
外観を描かれることが多い清水寺は「清水の舞台から飛び降りる」と、例えでいわれている舞台をメインに。紙の白をいかした、シンプルな色づかいがモダンな印象です。
作者竹中健司
22,000円(税込)から
Yasaka no to
八坂通りを東側へ坂を上るように進み、二年坂に差し掛かった手前付近。観光に訪れて見たことがある方も多い風景ではないでしょうか。いさぎよく主役のみを描きました。
作者竹中健司
22,000円(税込)から
12月
冬の手摺師・森愛鐘
いよいよ冬がやってきました。竹笹堂の工房は京町屋の二階にありますが、冬はなかなか冷えます。しかしどれだけ寒くても作業中は手首から10センチくらいは袖をまくる必要があり、しばらく摺りを進めると手先が冷たくなって指の動きが鈍くなってきます。 そうすると作業に支障が出てきますので、仕方なく中断してヒーターの前に手をかざして温めます。傍からみるとぼーっと休憩しているように見えるかもしれませんが、これも良い作品を作るためには必須の工程なのです。