職人便り
2024年バックナンバー

1月

接着剤
5代目摺師・竹中健司

 絵具の粒子だけでは紙からはがれるので、絵具を紙にくっつけるために接着剤を混ぜて、絵具は作られます。強く接着するには膠(にかわ)を使用し、アラビアゴム→ふのりの段階で弱まっていきます。大きく分けると動物性→植物性→海藻です。絵具の粒子の大きさでその接着剤を変えていきます。 

浮世絵 美人画 高島おひさ

背景には光沢のあるキラ(雲母の粉末)を摺って仕上げます。このキラは海藻の、ふのりで接着します。華やかな演出は美人を一層引き立ててくれます。

絵師喜多川歌麿

16,500円(税込)から

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版画の絵はがき 京の植物 松の葉

金色の絵具は原料が鉱物系で粒子が荒いため、植物性のアラビアゴムでゆったりと溶いて作ります。摺る時には軽くふわっと、紙の上にのせるように力を加減します。

作者加藤光穂

385円(税込)

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木版和紙 だるま

コロンと可愛いだるまの絵具は顔料の基本色の朱にほんの少し黄を混ぜて。水を入れ熱で溶かした動物性の膠を混ぜて作ります。膠は沸騰すると粘着が弱くなるので、程よい温度で丁寧に溶かします。

作者原田裕子

1,045円(税込)

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2月

版木のおヘソ
6代目摺師・原田裕子

摺りの仕事では、様々な版木をさわります。新しく彫刻されたものだけでなく、繰り返し摺る版も多くあり、先方や自社の蔵で眠っている版を出してきて使用します。普段よく使われている版は調子を出しやすいのですが、久々に摺る版は版木がおヘソを曲げているのか、どことなく摺りづらく感じるということが多々あります。そんな時は、いつもより慎重に版や紙の湿り具合や絵具の調子など今の最適を見つけるため、お久しぶりの版と対話しながら、ご機嫌をうかがい摺らせてもらうのです。

kamo river

オリジナル作品でもだいぶ昔に作られたものは、摺師が自ら彫っていたために、摺るには難しい彫りが施されている場合も。でも、版をみただけでも当時の制作の想いも蘇ってきます。

作者竹中健司

19,800円 (税込)から

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浮世絵和紙

古い版木を使うこの作品は、高い技術で彫刻され、たくさん摺られた版のためか今でも問題なく機嫌よく摺らせてくれます。

浮世絵師歌川広重

1,595円(税込)

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木版和紙 ねこ

この作品もブックカバーシリーズの中ではとても古い方ですが、人気者のためにちょくちょく摺り台に。

作者原田裕子

1,045円(税込)

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3月

間透
彫師・野嶋一生

間透と書いてアイスキと読みます。一般的に平刀と呼ばれている彫刻刀です。版木を彫る際の仕上げに使用し、これを「透き取り」といいます。刃の切れ味が良くないと版を欠かすことになるので、こまめな手入れが必要です。版と版の間を彫るのでいろいろなサイズがあります。彫師によって違いますが私は刃幅3mmのものがメイン間透です。

TORII.S

直線が中心の絵の場合、6mm幅の間透でサクサク進んでいけます。

作者竹中健司

6,600円(税込)から

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Tower

込み入った細かい線が多いと細い間透をよく使います。1mm以下の刃幅のものは畳針を研いで自作します。

作者野嶋一生

55,000円 (税込)から

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七福神 毘沙門天

ザクっとした彫味は小刀の切り回しで表現します。透き取りはいつも通り平らかに。

作者加藤光穂

2,750円(税込)

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4月


5代目摺師・竹中健司

摺る時に版木の上で絵具と共に糊を混ぜます。イメージは版木に絵具を糊で定着する感じです。これにより絵具を均一に版木の上に敷くことが出来ます。逆に糊を混ぜないで摺ると、絵具が紙に均一に摺れないので、ゴマ(ブツブツと絵具がつかない所)が出来ます。

木版和紙 しろつめ(全6色)

広いベタ面を美しく摺るには、絵具をムラなく均一に広げる糊が欠かせません。

作者竹中健司

1,045円(税込)

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浮世絵和紙 京都名所之内 あらし山満花

浮世絵の骨線(輪郭線)のように極細の線は、糊を入れると線が太くなりつぶれてしまうため使わないんです。

浮世絵師歌川広重

1,595円 (税込)

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5:00AM

ぼかし(グラデーション)を表現する時には、版木の上にのせる糊と絵具、水の絶妙な量感をつかむことが肝心。

作者竹中健司

316,800円(税込)から

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