1月
まあるいかたち彫師・野嶋一生
彫師になって最初に練習するのが丸の彫です。版木刀に伝える力加減が常に一定でないと美しい丸になりません。正円が彫れるように体で覚えると、どんな種類の丸でも彫れるようになります。いろんな丸を彫ることで、また正円の彫が上達していきます。
2月
木版本竹笹堂代表・竹中健司
木版の集大成本を上梓(じょうし)しました。上梓と言うのは、昔、梓(あずさ)の版木を使って文字を彫刻して、本を出版していたところから来ているそうです。この木版本は機械印刷でできていますが、内容は木版の歴史から技法など様々な木版の事を集約しております。竹笹堂の作品、商品などは、この集約された内容を使って出来ております。
木版画 伝統技法とその意匠
古代に木版印刷が誕生した歴史から、竹笹堂の木版職人による高度な技術やプロの道具、秀逸な作品を掲載する木版画本の決定版!!
共著者竹中健司・米原有二
4,400円(税込)
基本のテクニックからデザインのコツまで詳しく解説!手作りがうれしい木版画年賀状
竹中健司の一番弟子、原田裕子が教える初心者向けの教本。デザイン画つきが嬉しい。
著者原田裕子
1,650円(税込)
3月
春の気配摺師・森愛鐘
3月に入るときびしい寒さが少しゆるみ、あちらこちらに春の気配が満ちてきます。この時期になると本格的な春を前に桜柄の商品の摺りが最盛期を迎えます。淡く華やかな色彩が工房内に溢れ、暖かく明るい春への期待がより一層高まります。
4月
直線彫師・野嶋一生
版木を彫るときは、どのような図柄でもまずは小刀で切り込みをいれます。直線の彫は始点から終点まで寄り道することなく一定のスピードで小刀を動かすことが肝心です。版木を切る感触を最も感じられる工程なので、この感覚を他の描線の彫りにも活かしています。
5月
断裁五代目摺師・竹中健司
ずっと昔から変わらず、今も木版画に使う和紙を裁断する時には木の棒(定規)で紙を抑えて、紙包丁で切ります。この裁断方法は古典的な技ですが、多目の和紙を裁断する際に行い、真っすぐに紙を断つことができて手早く済みます。しかし、慣れないと難しい方法でもあり、美しく切るためには包丁のメンテナンスがかかせません。切れ味を保つための包丁の研ぎは、本当に大変です。
6月
おかしなモクハン(和菓子編)六代目摺師・原田裕子
節句にと、実家からあくまきが届きました。小さいときから親しんできた地元の郷土菓子です。京都では、夏越しの祓に水無月をいただきます。四季折々の風物などが意匠や素材として織り込まれ、視覚にも味覚にも味わい深い和菓子。そこにこめられた願いや季節感を、木版画のデザインで再構築してみました。
7月
木版和紙の彫彫師・野嶋一生
木版和紙は大錦判(約縦27cm×横39cm)と呼ばれる紙一面に柄が散らされているため、何度も同じ形を彫ることになります。絵を彫るのとはまた少し違う繰り返しの感覚です。形にばらつきが出ないよう、全体を見ながら彫を進めます。
8月
ドーサ引き五代目摺師・竹中健司
ドーサ引きは和紙に滲み止め加工をする事です。雨の日はイオンの関係でドーサ引きができません。梅雨が抜けた8月は晴れた日が多く、天気予報をそれほど気にしなくても大丈夫です。
美人画 高島おひさ
浮世絵は江戸時代当時では手にとってみるものでした。そのため、ドーサ引きをした手漉きの和紙の中でも厚みと強度がある越前奉書紙を使っています。
作者喜多川歌麿
13,200円 から(税込)
ルパン三世浮世絵木版画 大判 峰不二子
もうひとつの現代の美人画ともいえるアニメの浮世絵は、日本の粋を集めた逸品。もちろん、越前奉書紙を使用!伝統文化とサブカルチャーのマリアージュですね。
原作者モンキー・パンチ氏
66,000円(税込)
9月
感覚の世界摺師・森愛鐘
摺りの仕事は絵具の調合から紙の湿し、バレンを当てる力の入れ方まで、その微妙な加減は全て感覚を頼りに進めていきます。絵具も紙も時間も体力もなるべくロスが出ないように、ちょうど良い加減になるよう調整しながら作業を進めていきます。しかし今まで何千枚、何万枚と摺った仕事でも、毎回少しずつ感覚が異なり毎回完璧に同じように摺ることはとても難しく感じます。おそらく人間の感覚に絶対というものはなく、自分自身が感じている以上に日々ゆらいでいるものなのだと思います。慣れてきたころに思わぬ失敗をし、自らの不正確さを自覚します。そしてその実感こそ良い仕事をする為に大切な感覚のような気がします。
10月
ばれん5代目摺師・竹中健司
ばれんの中身には竹の繊維をつないだ竹芯が入っています。あて皮と呼ばれる薄い和紙を50枚ほど張り合わせた丸い型枠に、 その竹芯を入れて竹皮で包みます。竹芯を大まかに区別すると8コ12コ16コという種類に分かれており、それらを摺り方に応じて使い分けていきます。バランスよく使い分けて木版画を摺り上げていくために常にメンテンスも考える。人も道具も動いたらメンテナンスを忘れてはいけません。
11月
おかしなモクハン(洋菓子編)6代目摺師・原田裕子
竹笹堂では、スタッフの誕生日にみんなでお祝いします。毎日3時にはお茶の時間があるので、その時間にみんなでバースデイソングを歌い、ケーキをいただくのです。歳を重ね、だんだんと誕生日を待ち遠しくは感じなくなってきましたが、それでも、誰かにお祝いしてもらえるというのは嬉しく、特別なケーキに顔も心もほころびます。
12月
京都の時間彫師・野嶋一生
竹笹堂の木版デザイナー加藤光穂が作画担当の京都時間シリーズ。京都で見たことのある色々なモチーフが、そばに置きたい楽しい絵になっています。彫りで心がけているのは「毛抜き合わせ」といわれる、色版と色版をピッタリと合わせる技術。重ならず、隙間もあかず。このあたりにも、京都らしさというものが込められています。